2015年もあっという間に1週間が過ぎてしまいました。「時熟」にアクセスしていただいたみなさま、今年もよろしくお願いします。
先日「おるたネット」という、多様な学びを作る活動をしているネットワークのメーリングリストに、「時熟」でもおなじみの野村俊幸さんのコラムが載っていましたので転載してご紹介します。
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「文科省不登校フォーラムに参加して」
登校拒否と教育を考える函館アカシヤ会 代表 野村俊幸
学校復帰が主眼の不登校対策が、子どもと家族を追いつめてきました。
現在40歳の長女は中学2年生が始まって間もなく不登校になり、何の理解もな
かった私はひたすら長女を学校に戻そうとして、長女を病人のような状態に追い
込んでしまいました。
現在30歳の次女は小学4年生になって間もなく不登校になりましたが、姉のと
きの反省もあり、一切登校を無理強いしなかったので、次女は概ね元気でした。
現在は二人とも社会人として家庭を持ち、普通に暮らしていますが、このような
経験は、わが家だけの個別の特殊なものではなく、全国の多くの不登校家庭が経
験していることです。
「何らかの事情で学校が辛い状態」であり、「不登校も本人の成長にとって必要
なプロセスかもしれない」と親も教師も子どもをまず受容することから始める必
要があるのに、「学校に戻す」ことを第一に考えてしまうためにそのような態度
を取ることができないのです。
私は現在、はこだて若者サポートステーションの相談員などソーシャルワーカー
として活動していますが、「クライアントを個人としてとらえる」「クライアン
トを丸ごと受けとめる」「クライアントを自分の価値観に基づいて非難しない」
「クライアントの自己決定を促し尊重する」などバイステックのケースワークの
原則は、 不登校の子どもと関わる場合にも、当然尊重されるべきことです。
しかし、大半の親も教員もこのような対処をできず、親子関係も教員・学校との
関係も悲惨な状態になっていくのは、「子どもを学校に戻すこと」を不登校に解
決と考え、様々な強い働きかけを進めてきたからにほかなりません。
まずは早急に、学校復帰を主目的とする不登校政策を転換し、児童生徒が自分を
否定されず、安心してゆっくり学校を休むことを認めるともに、既存の学校の他
にも多様な学びの場、進路を選択できるように、教育システムが柔軟な形に改革
されていくことを望んでいます。
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